傷だらけの君は
俺は人の気持ちを考えることがなによりも苦手だ。
多くの野郎共とぶつかり合い、数多の女を泣かせた。
はっきり言ってしまえば、普段の感情が読み取りにくいこいつは好きか嫌いかで言うと今のところ好きではない。
しかしそれでも、俺はここにこいつの居場所を作らなければならなかった。
ここには俺だけじゃなく、総司や近藤さんもいる。
少しずつでいい。俺が変われたようにお前も変わっていってくれれば。
どんな手を使っても、どんなに嫌われても。
「......強くなれ、紅」
俺は指を伸ばし、紅の頬を伝う小さな涙を拭った。