傷だらけの君は
こんな幸せな時を過ごして、天罰とか下らないかな。欲張りすぎだって言われないかな。
気付けば暗いことばかり考えてしまう。
こんな自分にそろそろ嫌気がさしてきた。
俯きがちになって、また髪が顔に垂れる。
もっと世界を知りたい。視界を広げて、色んなものを目にして。
髪を伸ばしていたのは単に切る理由がなかっただけじゃなかった。
隠したかったからだ。
人目からも、傷も、あたし自身の存在も。
……あたしは変わりたい。
もしこの判断がひとつのきっかけになるとしたら。
あたしはたぶん、後悔はしない。
「沖田さん」
「ん?」
「刀貸していただけませんか」