傷だらけの君は


あたしは月を見ていたくて、お団子を頬張りながら空を見上げていたら隣に誰かが座った。



「それ美味しそうだね」


「よもぎ団子です。藤堂さんから頂きました」


「へぇ......よもぎ団子か。ふーん」


「美味しいですよ」


「だろうね。よもぎだもんね......へー」



「......よかったら食べますか」


「悪いね。じゃあひと口」


沖田さんの手に渡ったよもぎ団子は、ぱくぱくと食べ進められていく。


......まあ半分は食べたし、いいんだけどね。


かわりに渡された三色団子は沖田さんのお気に入りだった。


一番上の桃色団子だけがなくて、あとの二色は残っている。


これも一応、よもぎ団子入ってるのにな。



あたしと沖田さんは二人並んで団子を食べながら、満月を見上げる。



「土方さん、殺さなかったんだって」



なんとなく、分かっていた。



土方さんがあの人とどんな約束をしていたから知らないけど、きっとあたしに関することだったんだと思う。



「これ聞いて安心した?それとも......残念?」


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