傷だらけの君は


土方さんはめったに怒らない。


沖田さんを叱ったり、声を荒らげたりすることはあるけど

本当に怒っているときの土方さんは、ただひたすらに"静か"なんだ。



そんな土方さんがこんなに怒りに震えるほど、この人たちの計画はあまりにも残酷だった。



「もう全部話した......はやく、そいつを俺によこせ」


古高さんは喋りすぎたのかもう意識を保つのに精一杯なようで、必死にあたしを見つめている。



......そうだ、古高さんは話してくれた。


治して、あげなきゃ。




「じゃあ近藤さん、あとは任せたぜ」


「え?」


古高さんに伸ばしかけた手をぱしっと取られ、思わず土方さんを見上げる。


2階から誰かが降りてくる音がして、額に汗をにじませた近藤さんが現れた。



「ああ、下のほうがまだ涼しいなぁ。話は全て聞かせてもらったよ。じゃあもう、これ......はいらないな」


がしゃん、近藤さんが笑顔で落としたのは物騒なものばかり。


古高さんはそれらを見てびくりと体を揺らした。


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