傷だらけの君は
沖田さんの周りには血だまりができていた。
またいつ襲われるか分からないこの状況で、沖田さんは刀を握れる状態じゃなくて。
「なんで笑えるんです?苦しいはずなのに、なんで笑っていられるんですか」
すると沖田さんはすこし目を開いたあと、おかしそうに口角をあげた。
「そうだね、あの頃は嫌いだったよ」
何かを懐かしんでいるような表情であたしを見つめる。
沖田さんが何を言っているのか、あたしには分からなかった。
そうこうしている間にも、顔色は悪くなっていく一方で。
「おい!ここに新選組がいたぞ!」
入り口のほうからはそんな声が聞こえてきた。
背を向けているから把握はできないけど、おそらく数人がこちらに向かってきている。