傷だらけの君は
「総司!もう少しだからな」
近藤さんの声に言葉が返されることはなく、あたしたちは階段を下る。
あたしの肩に触れている沖田さんの身はぴくりともせず、その体温でしか生死を判別できないほどだった。
さっきより、体温が戻ってきてる。
もしかしたら喀血の直後だったのかもしれない。
今はすこし安定してきているのかも。
そのうち、意識もはっきりしてくるに決まってる。
そう、自分に言い聞かせてずり落ちないように沖田さんを支え直す。
先頭は近藤さん、左右では藤堂さんと永倉さんがあたしと沖田さんを守るようにして囲んでくれている。
「紅も大丈夫か?」
「あたしは大丈夫です。皆さんより傷の治りも早い」
朦朧としていた意識も、幾分ましになりつつある。
永倉さんは納得したような顔はしなかったものの、また周囲に注意して視線をやった。
実際に額と指の傷以外はもう痛まない。
この二点の痛みに気をもっていかれているだけかもしれないけど。