傷だらけの君は
一階まで降りてきたところで、なにやら入り口が一層騒がしいことに気付いた。
新たな敵かと沖田さんの肩に回していた腕に力をいれる。
この手を離す気は死んでもなかった。
大きな音がして、扉が壊れた。
それを蹴破ったであろう誰かの足が見える。
あたしにはなんとなく、その足の持ち主が誰なのか分かってしまった。
「ったく今日は無駄にあっちぃな。
誰だよ、四国屋だっつったのは」
眉間に筋を立てながら堂々と踏み込んできたのは、案の定土方さんだった。
その顔は雨か汗かで濡れていて、額にひっついた髪を鬱陶しそうに剥がしている。