傷だらけの君は
捌ノ巻



「なにか言うことは?」

「……すみませんでした」


謹慎明けに見た土方さんの顔は、これまでに見たことがないほど強ばっていた。


重たい扉の外から入ってくる日の光から目を背けるようにして頭を下げる。



池田屋での戦いのあと、あたしは約束を破ったために一週間の謹慎を食らった。


外出はもちろん、必要最低限部屋から出てはいけない。

また、隊士との接触禁止。


あたしがこうして落ち着いていられたのは、沖田さんの容体だけは知らせてくれたから。


あの日の夜、ふっと緊張の糸が解けたあたしは気を失ってしまった。


山崎さんによると、多少の貧血もあったらしい。

それを知らせてくれたのはあたしを診てくれた山崎さん本人ではなく、目の前にいるこの人だった。


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