傷だらけの君は


あ、そういえば、あたし土方さん宛の恋文預かってたんだった……


いつだったか屯所前を掃き掃除していたら、突然渡されて。



その女の人も何も言わずに走っていったから、一瞬あたし宛かと中身を確認してしまった。


そこには熱い文が長々と綴られていて、最後には『土方歳三様』とあったから何も見なかったことにして本人に渡そうと思ってたんだけど……



ばたばたしてて、今の今まで忘れてしまっていた。


また今度、絶対渡そう。



「沖田さんは今どちらに?」


「ああ、稽古中だよ」


「そう、ですか……」


沖田さんにとっては余計な心配なことは分かってるんだけど、それでもあたしの心の中はざわついた。


容体は安定しているとはいえ、またいつ悪化するか分からない。


前よりも良くなっていることなんて絶対にないんだ。


あたしは医者じゃないから、結核がどんなふうに進行していくのかも、どんな症状が見られるのかも見当が付かなかった。



だけど今の沖田さんは少なくとも、以前のように生活しているから……


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