傷だらけの君は
小高い丘の上、お母さんのお墓はそこに作られた。
お墓に彫られた名前を、指でなぞるように触れる。
結局、何も聞けなかった。
……雪さんにお母さんを紹介したかったなぁ。
一緒にお団子も食べたかった。
「普通の人の半分も生きられない、か」
お母さんはそれを知ったとき、何を思ったんだろう。
少しでもあたしのことが頭によぎっていたらいいなって。
笑わないお墓にほほ笑みながらそう思った。
「ここは見晴らしがいいね」
「沖田さん、今日は大丈夫なんですか?」
「おかげさまで。天気がいいからかな」
その手には花が持たれていて、沖田さんはそれをお墓の前に置くと両手を合わせて目を閉じた。
「……綺麗な人だったね」
「はい、」
だめだ。
堪えていた涙が出てきそうになる。
あれほど泣いたのに。
これ以上出るものがあるのかってくらい、三日三晩泣き続けたのに。