傷だらけの君は
そんなあたしの肩を沖田さんが抱いてくれた。
「胸ぐらいなら貸すよ。……泣きな、思う存分」
この数日間、ずっと貸していてくれたのに。
まだ貸してくれるの?
「う、わぁん……っ!」
「我慢しなくていい。時間もあるから、僕も隣にいるから。
いまは自分のことだけを考えたらいい」
正面に沖田さんが回って、抱きしめられる。
いつか、こうやって抱きしめてもらったことがあったっけ。
あたしよりも上背のある沖田さんは、あたしなんか簡単に包み込んでしまう。
悲しみさえもこうして一緒に抱えようとしてくれるから、いつだってその気持ちに甘えてしまう。
あたしの命も、沖田さんの命も永遠じゃないのに。
こんな時が永遠に続けばいいのにって思っても、叶いやしないのに。
小さな願いを胸に込めたまま、その胸の中で涙を流し続けた。