傷だらけの君は
「ぐすっ……」
日も落ちかけた頃、あたしの持っていた水分が切れてしまったらしい。
本当に干からびてしまいそう、なんて鼻をすすりながら思った。
「泣き止んだ?」
「はい……あ、」
「鼻水とか付けてないよね。信じてるよ?」
待って、付いてる。付けてる。
沖田さんが確認しようとするから、あわてて背中にまわしていた手の力を強める。
「……分かった、顔を上げたときいつもみたいに笑ってたら許してあげる」
頭上から聞こえてきたのはあたしをからかうときの、まるで笑いをこらえるような声だった。
そんななかにも優しさが含まれていて、穏やかに響く。
「……ぐしゃぐしゃじゃん。やり直し」
「や、やり直し!?」
「あははっ、……嘘だよ」
ぺしんと叩かれたおでこに、軽い口づけを落とされる。