傷だらけの君は
――――ダァン……
「近藤さん!――――近藤さんッ!!」
そんなある日、近藤さんが被弾した。
何者かに右肩を撃ち抜かれたのだ。
何日も生死の境をさまよった近藤さんは、治療を受けるために大坂城へ運ばれた。
『ごめんなぁ、もう撫でてやれそうにない』
気が遠くなるくらいの痛みが襲っているはずなのに、最後の最後まで刀を持とうとしていた。
刀を落とすたびに、悲しそうに、悔しそうに笑いながら……
『トシ、あとは任せてもいいか?』
それが新選組局長としての、近藤勇の最後の命令だった。
『――――ああ。』
最後に見た近藤さんの笑顔はまるで子どものようで。
ありがとう、と安堵したような、泣きそうな声が宙へと溶けて消えた。