傷だらけの君は












あたりは混沌としていた。


隊士たちは入れ替わり立ち替わり、戦場へと出ていく。


あたしはそんな彼らの後ろ姿を、ただ見送ることしかできなかった。



『――――総司と一緒に、大坂へ行け』


あの日以来、土方さんとは話していない。


土方さんがどこかへ行っている日が増えたからということもあるけど、あたし自身、何を話したらいいか分からなくなってしまったから。


肯定も否定もしなかったあたしを土方さんはどう思ったんだろう。


また呆れられたかもれない。

いつになったらお前は俺の言うことが聞けるんだって。



だけどそんな簡単にうなずけるような内容じゃなかった。



だって、誰が予想してた?



沖田さんを連れて逃げろなんて、その言葉の裏に隠されていた本心はあたしにとって想像もしていない一言だった。



今までも一緒に乗り越えてきたつもりだった。


そう思っていたのはあたしだけだったの?



あたしの居場所はここしかないのに、それさえも奪ってしまうの……?


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