傷だらけの君は
ここ数日で沖田さんは起き上がれないほどまで衰弱していた。
それがなにを意味しているのか想像にたやすくて、だけどそれを認めたくなくて。
じゃああたしでよければ、いくらでも付き合いますよ。
そういえば、この前雪が降ってたんです。
沖田さん寝てたから、一緒に見れなかったけど……
そうだ、最近屯所に黒猫が出入りしてて。
沖田さん知ってました?黒猫を飼うと、結核が治るらしいんですよ。
あたし今度見かけたらここに連れてきますね。
あと、あたし身長伸びたんですよ。
今までは目線も遠かったけど今ならその差も埋まってるかな。
また今度背比べしましょう。
あとは、あとは……
「――――……うっ、……っ」
「泣かないで」
沖田さんに言われてはじめて気付いた。
何一つ、言葉が出なかったことに。
泣いていたことに。
あたしは沖田さんの布団に一滴、また一滴と涙を落としている。