傷だらけの君は
「はあっ……はあ、」
やっぱりみんな、ここにいた。
あたしと……沖田さんの姿があることに気付いてどよめきが起こった。
「嘘だろ、お前……総司、なんで…」
その中にいた永倉さんが、信じられないといった顔で近づいてくるから
「また走れる日が来るなんて思わなかったよ」
沖田さんが笑っておどけてみせる。
「……永倉さんっ!」
「うおっ!?」
「あっ!?」
あたしは永倉さんの切れた頬に手を当てる。
それに驚いたのは永倉さんだけじゃなく、なぜか沖田さんも声を上げた。
“治れ”
そう念じた。
お願い、治って。
肌にぴりっと電流が走ったようだった。
手をのけると、永倉さんの頬の切り傷はなくなっていた。
でも……
「紅!大丈夫か?」
「永倉さん、」
永倉さんの手があたしの頬に触れた。
まるでさっきとは逆の立場で。
それが何よりの証拠だった。
――――あたしは傷を“移して”いた。