傷だらけの君は


涙のように、雨があたしたちを濡らす。


辺りは静まりかえっていて、この場にいる誰もが二人の姿から目を離すことはなかった。


瞬きすら忘れてしまう。ただ時間だけが過ぎていく。



「お前にしかできないことがあるんだよ。
総司、最後くらい俺の言うことを聞いてくれ」



あたしなんかじゃ比べものにならないほど、長い時間を共に過ごしてきたんだ。



土方さんのことを一番良く知っているのは沖田さんで、

沖田さんのことを一番理解しているのも、土方さんだった。



「あなたは本当に、石頭ですね……」


「男が泣いてんじゃねぇぞ」



雨で濡れた髪の隙間から何かがきらりと反射した。


隠された瞳を、ゆっくりと持ち上げる。





「――――泣いてませんよ、土方さん。僕を誰だと思ってるんです?」



「はは、クソガキが。……ま、こうでなきゃうちの組長は務まらねぇわな」




土方さんがあたしの腕を掴んだ。


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