傷だらけの君は
……ああそうだ、大事なことを言い忘れていた。
振り返るとまだそこに突っ立っている。
「紅。もうその力は使うな」
お前は薬箱なんかじゃねぇ。
俺たちの大切な仲間だ。
……本当はもうすこしお前の成長を近くで見ていてやりたかった、
そう言ったらお前は笑うか?
「……じゃあな」
そして俺は馬を蹴った。
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「――――お父さんっ!」
遠くからでも聞こえる馬鹿でかい声。
はじめは大声の出し方すら知らなかったお前が。
いつのまにこんなクソでかい声出せるようになってんだよ。
何度も、何度も俺に向かってそう叫ぶ紅。
……馬鹿が。
「お前の父親になった覚えはねぇぞ。
俺は土方歳三……新選組副長だ」
強く生きろよ、紅。
俺たちが言いたいのは今までも……これからも、
――――ただ、それだけだ。