傷だらけの君は
参ノ巻
縁側から足を投げ出し、宙を仰ぐ。
今夜は望月だ。
新選組に来てどれぐらい経ったのだろう。
たぶんそこまで日は経ってないけど、生傷を見てもいつ作られたものかもすでに忘れていた。
あたしは父様に売られた。
その事実だけは、心の中に大きく留まっている。
「父様、お元気ですか」
なんて煌々と輝くお月様に話しかけても、父様ではないからお月様は答えてはくれない。
体調を崩したりしていないかな。
ご飯はちゃんと食べてるかな。
夜はまだ寒い。暖かくして寝ているかな。
父様のことを考えれば考えるほど、家に帰りたいという気持ちが強くなっていく。