傷だらけの君は
ああ、まだ依頼もたくさん残ってるのに。
……あ、でもあたしはもう新選組の物か。
だったらもう、父様が全部断ったのかな。
最後にお金を渡したのはずいぶん前だったから、足りているかどうか不安だった。
あたしの値段は一体、いくらだったんだろう。
いま、父様はどうやって生活しているんだろう。
ちゃんと仕事を見つけたのだろうか。
……なんで。
「なんであたしを売ったんですか?」
一つくらい、相談してくれてもよかったのに。
何か困っていたのなら、力になれたかもしれないのに。
傷だらけの腕を広げて、仰向けに倒れる。
縁側はひんやりとしていて少しずつ体の体温が奪われていく。
辺りの静けさにあたしの心臓もとくん、とくんと同調して。
黒々とした空にぽっかりと浮ぶ大きな月。
孤独なお月様には、この静まり返った京の町を照らし続けるという使命がある。
「あなたも傷だらけなんだね」
その姿はまるで、
「……あたしみたい」