傷だらけの君は
そのとき、ぱさりと何かがあたしの上に落ちてきた。
なんだろう。
持ち上げてみるとそれは誰かの羽織で。
「風邪引くよ」
「沖田さん」
頭上からかけられた、高くも低くもない耳触りのいい声。
緩んでいた空気が一気に引き締まったように感じた。
「ああ、いいよ。そのままで」
急いで起き上がろうとしたら止められた。
中途半端に浮いた身体をぐいっと押し倒されて、再び冷たい床に戻される。
思ってたより力が強く、少し驚いて彼を見上げるといたずらっぽく笑った。
「なに?もっとか弱いかと思ってた?」
隣座るよ、と沖田さんがあたしの横に腰かける。