傷だらけの君は
あたしを軽々と抱き上げてくれたこともあったから、決してか弱いとは思ってない。
それ以上に不思議なのは……
「腕の骨折はもう完治しましたよ?」
「うん、知ってる」
今は新たな傷が広がる腕を、そっと撫でられた。
あたしは身を起こす。次は押し倒されたりしなかった。
……じゃあ、
「なんでそんなに、あたしに構うんです?」
あたしが高熱で寝込んでいるときも、
こうやって新選組お預かりになってからも。
すると沖田さんは少し考える素振りを見せたあと、その顔に笑みを貼り付けた。
何度も見た、いつもあたしに見せる笑顔だった。
「……嫌いなんだよね、君のこと」
あたしは驚かなかった。
知ってたから。
だからこそ不思議で仕方がない。
あたしを見る沖田さんの瞳は一見優しいものの、その奥には隠しきれない嫌悪感が表れていた。
そのことに気が付いたのは、看病をしてもらっているとき。
なにが沖田さんを不快にさせているのかも、なぜ嫌いなのにこうやって話しかけてくれるのかも分からない。