傷だらけの君は


ただ、思い当たる節が一つだけあった。



「女だからですか」


「は?」


「あたしが女で、にもかかわらずここにいるからですか?」


ここ……つまり新選組は女人禁制で、女の人は屯所に立ち入ることができない。


そんなあたしがのうのうと新選組にいるから?


だから沖田さんはあたしに怒っているの?



「違うよ。それに関しては君はなにも悪くない。
僕は……いや、やっぱりいいや。今の君に言ってもきっと分からないだろうから」


あたしは何も言うことができなかった。


今の君には分からないと言われたらもうおしまいだし、言及しようとも思わなかった。


沖田さんは優しい人だから、あたしが何かをしない限りこんなことを言わないはず。


やっぱり、きっとあたしが何かしてしまったんだ。

だけどその何かが分からないから、どう謝っていいかも分からない。



あたしには嫌いという感情がないからその分、人の気持ちも理解できないのだろうか。


< 46 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop