傷だらけの君は
ただ、思い当たる節が一つだけあった。
「女だからですか」
「は?」
「あたしが女で、にもかかわらずここにいるからですか?」
ここ……つまり新選組は女人禁制で、女の人は屯所に立ち入ることができない。
そんなあたしがのうのうと新選組にいるから?
だから沖田さんはあたしに怒っているの?
「違うよ。それに関しては君はなにも悪くない。
僕は……いや、やっぱりいいや。今の君に言ってもきっと分からないだろうから」
あたしは何も言うことができなかった。
今の君には分からないと言われたらもうおしまいだし、言及しようとも思わなかった。
沖田さんは優しい人だから、あたしが何かをしない限りこんなことを言わないはず。
やっぱり、きっとあたしが何かしてしまったんだ。
だけどその何かが分からないから、どう謝っていいかも分からない。
あたしには嫌いという感情がないからその分、人の気持ちも理解できないのだろうか。