傷だらけの君は
「お大事に」
今の隊士で、今日は終わりかな。
随分と人が多かったけど、今日の巡察はそんなに大変だったのだろうか。
少し前に、誰かが『不逞浪士の集団』がなんとかって言ってたけど、それが原因なのかな。
「あ、血が……」
今しがたできた傷口からつぅっと垂れる血を、慌てて近くの布で押さえる。
いけない、畳を汚すところだった。
いくらここが使われていない物置小屋だとしても、借り部屋なのにかわりはない。
古びた刀や大小さまざまな木材、切り裂かれた布によく分からない巻き物などが、小屋の天井近くまで積まれている。
所狭しと積まれたそれの、真ん中に存在するわずかな隙間に敷かれた一枚の畳。
その畳の上であたしは生活していた。