傷だらけの君は
余ってる部屋がないから、と土方さんに押し込まれたけど実際の理由はどうなのだろう。
局長である近藤さんより土方さんのほうが新選組の局長に見えるのは、あたしだけなのかな。
いつも怒ったようなその表情からは、なにも読み取ることができない。
廊下ですれ違うたびに、あたしの顔を見てから舌打ちをされる。
なにかついているのかと思ったけど、鏡を覗いてみても移した傷があるくらいでいつもと同じ顔だったから、きっと土方さんはあたしの顔が嫌いなんだ。
そんなことを考えながら腕の止血していると、小屋の重い扉が音をたてて開いた。
まだ怪我人がいたんだ……誰だろう。
目を向けるとそこにいたのは、ちょうど頭の中にずんと居座っている人だった。
「……土方さん」
「相変わらずだな、小娘」