傷だらけの君は


ほこりが舞う空間にひとつ咳払いをしながら、土方さんは中へと入ってきた。


相変わらずって、どういう意味だろう。


相変わらず元気だなってことかな。



「はい。身体に異常はありません」


「……そういう意味じゃねぇよ」


違ったのか。


そんなハエを見る目で見なくてもいいのになって思ったけど、嫌われているのなら仕方がない。



そのとき、とある部分に目がついた。



「土方さん」


「あ?」


「その指……」


あたしの視線の先には、皮膚が切れて血が滲んでいた指先。


土方さんは言われて初めて気付いたのか、指を見てさほど興味のないような顔をした。


< 51 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop