傷だらけの君は
ほこりが舞う空間にひとつ咳払いをしながら、土方さんは中へと入ってきた。
相変わらずって、どういう意味だろう。
相変わらず元気だなってことかな。
「はい。身体に異常はありません」
「……そういう意味じゃねぇよ」
違ったのか。
そんなハエを見る目で見なくてもいいのになって思ったけど、嫌われているのなら仕方がない。
そのとき、とある部分に目がついた。
「土方さん」
「あ?」
「その指……」
あたしの視線の先には、皮膚が切れて血が滲んでいた指先。
土方さんは言われて初めて気付いたのか、指を見てさほど興味のないような顔をした。