傷だらけの君は


「こんなもん、舐めときゃなんとかなる」


いや、なるようには思わないけれど。


ぱっくりいっちゃってるし。


と心の中で返したけれど、本当に土方さんはどうでも良さそう。



その時、ある考えが頭をよぎった。


もしかしたら、見直してくれるかもしれない。


この指の傷を治すことで。



「土方さん、あの」


「なんだよ」


あたしは怪訝そうな顔をする土方さんを呼んで、その繊細な指にそっと触れた。



「っ、おい」


触れて分かったことだったが、

繊細に見えたその指は、意外にもゴツゴツしていて紛れもなく剣士の指だった。


< 52 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop