傷だらけの君は
茜色のその瞳は見つめただけでも切れてしまいそうなほど冷たくて。
あきらかな嫌悪、そして敵意をあたしに向けているんだと悟った。
「てめぇならそっちを選ぶと思ってたぜ」
「えと……」
「いや、答えなくていい。最初っからお前の中には、その選択肢すらないだろうからな」
答えなくていいって言われたけど、それ以前になんて答えたらいいか分からなかった。
「てめぇにとっての治療がこれなら、俺は口出しはしねぇつもりだったが……小娘」
「はい」
「こんな切り傷まで治してるのか」
「……はい。それがあたしの仕事ですから」
今までもそうやってやってきた。
それが、こんな能力を持って生まれてきたあたしの使命だから。
「なんでそんなツラしてんだよ」
「え?」
突然、視界が反転した。
いま目の前にあるのは土方さんの顔と、天井。
腕を動かそうにも両手首を畳に押さえつけられていてびくともしない。
「なんでしょうか」
「……これでも変わんねぇのか、てめぇは」
変わる?これで一体何が変わるというの?