傷だらけの君は
「嫌なら悲鳴の一つでもあげてみろ」
「別に嫌ではないので、悲鳴はあげません」
もしかして、この状況に嫌がると思ったのかな。
それなら嫌ではないし、かといって良くもない。
土方さんが何を思っているのかは分からないけど、あたしに抵抗する理由はない。
「……もういい」
土方さんは心の底から呆れたようにあたしの手首を離した。
ようやく解放された、そう思った瞬間。
「っ、」
目の横すれすれに、何かが降ってきた。
そしてそれが土方さんの手であるということを、すぐに理解することができなかった。
「てめぇは正真正銘の、化け物だよ」