傷だらけの君は


藤堂さんは満点だ、と歯を見せて笑ってくれた。



「いいよ!はい、あーん」


「いやそれはさすがに……」


藤堂さんの手から団子を受け取り、一つ、口に入れた。



口の中に広がった、甘い甘い蜜の味。


......美味しい。


団子って、こんなに美味しかったっけ。



「わあ」


「美味しいです、藤堂さん」


ありがとうございます、と言うと目の前の彼はにへらと笑った。



「こちらこそ良いものが見れたよ、ありがとう」


「?」


良いもの?

なんのことか分からず首を傾げるあたしをよそに、藤堂さんはとても興味深そうにあたしを見ていた。




(紅が笑った。)


その姿はほんの一瞬だったが、くしゃりと目元が下げられる紅の微笑みは初めて見るもので。



(なんだ、ちゃんと笑えるじゃん。)


それはこの場に限ってではなく、紅が屯所で少しだけ本当の自分を見せた瞬間だった。


また団子買ってこよう、と藤堂は目の前できょとんとする彼女を見て、ひそかにそう思うのだった。



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