傷だらけの君は
「これからどうするの?」
藤堂さんがそう聞いてきた。
今しなきゃいけないことはないし、久しぶりに……
「すこし散歩をしようかと」
もちろん、外じゃなく屯所内を。
藤堂さんもたしかこれから巡察だったはず。
あたしもそうゆっくりはしていられない。
藤堂さんが巡察から帰ってくれば、また怪我人があたしを訪ねてくる。
「そっか。じゃあ、またね。紅」
「はい。また」
頭を下げて立ち去ろうとすると、後ろから藤堂さんの元気な声が降ってきた。
「さっきの話、俺に限ったことじゃないからね。みんな紅のこと心配してるよ」