傷だらけの君は
「沖田さ......」
そう言うよりはやく、あたしの肩を掴んでいた男の手が飛んだ。
「ぎゃあっ」
一瞬のことで何が起きたか全く分からなくて、瞬きすらできなかった。
そして沖田さんの刀が、鞘から抜かれていることに気付いた。
沖田さんが斬ったんだ。
「困るね。うちの仲間を泣かしてくれちゃあ」
「紅!大丈夫か!?」
後ずさる男たちに、どこからか凛とした声が聞こえた。
続いて空気が揺れるような大声も。
沖田さんの後ろから現れたのは土方さんだった。
土方さんだけじゃない。
近藤さんや藤堂さん、永倉さんに原田さん......
「みんな......」
いつの間にか周りには新選組のみんながいて、あたしを囲ってくれている。
「紅。泣いちゃダメだよ?笑って笑って」
藤堂さんの笑顔は最後に見たときとまったく変わっていなかった。