傷だらけの君は
沖田さんに手を引っ張られ、起こされる。
たしか前にも、沖田さんの意外と強い力に驚いたことがあったな。
あたしのこと嫌いなはずなのに。
また、助けてくれた。
「ほらさっさと立って。帰るよ。
君の居場所に」
居場所。
その言葉に目の奥がじんと熱くなった。
なんであたしが言ってほしかった言葉を、言ってくれるの?
ここで泣いたらまた泣き虫だって言われてしまう。
あたしはあわてて涙をぬぐいながらみんなの後を追う。
「まって......ま、て......」
後ろから苦しげな声が聞こえてくる。
本当は治してあげたかった。
それがこの能力をもって産まれてきたあたしの運命だから。
だけどそれじゃあ、あたしはいつまで経っても変わらない。
......ごめんなさい。
あたしじゃ貴方は治せないけれど、誰かが助けてくれることを祈っています。
あたしは唇を噛みしめながら、男に深く頭を下げた。
「どうか、お大事に」