傷だらけの君は
あと一歩で屯所に入る、というところであたしの足は止まってしまった。
「どうした、入らねぇのか」
土方さんの問いかけにみんなの視線も集まる。
......そう。いまのあたしじゃ入れない。
されるがままだったあたしでは。
自分の意思を大切にしろ。
そう教えてくれたのは、貴方たちでしょう?
「あたしはまだ未熟です。感情も、他の人に比べて薄い。至らない部分もあるかもしれません」
もし、それでもいいと言ってくれるのなら。
あたしは目の前の恩人たちに、頭を下げた。
「あたしを新選組で使ってください」
もう一度、一から。
なんとなくで過ごしていたあたしは、もういない。