傷だらけの君は
「紅はたしかに未熟だし感情も希薄だ。
だって笑ってるはずなのに本当は笑ってないし、痛いはずなのに我慢してるし!
ぜってぇ痛えだろ、骨折れてんだぞ?
俺だったら痛い!
それになんだよ使うって!?
お前は物じゃねぇんだよ!」
「ぱ、ぱっつぁん?」
原田さんの声もかき消すように永倉さんは、その大きな手をあたしに向けてきた。
「だから、これから身につけていけばいい。ここで、この新選組で。俺たちと一緒に!」
我慢していたのに、もう泣かないって決めたのに。
あたしはいつからこんなに、涙もろくなっていたんだろう。
だけどさっきの涙とは違う。
だって今、悲しい気持ちなんてこれっぽっちもない。
「......ありがとう」
頭、背中、肩......そして掴んだ手。
さっきまでは痛いと感じていたのに、今はもう痛くなんてなかった。
……すごく、あたたかかった。
「ぱっつぁんかっこいいじゃん!俺惚れちゃったー」
「ほんと、永倉さんにしてはいいこと言ったね」
「へへ......」
藤堂さんや沖田さんの言葉に、永倉さんは照れくさそうに頬をかいた。
「まあ、おかえり。紅」
沖田さん。
頭に置かれた手、あたしはもう一度笑った。
「これから、よろしくお願いします!」