傷だらけの君は


沖田さんが不機嫌そうにあたしを見た。


「じゃあなに?僕の部屋じゃ生活の質が上がらないって?」


「そ、そんなことないです!ただ、あたしなんかと……」


「だからそういうとこも嫌いだって言ってんだよ。そこは可愛らしく、よろしくお願いしますっていう所じゃないの?」


沖田さんはあたしが可愛くないところも嫌いらしい。



「あと、"とか" "なんか"禁止。次言ったら口聞かない」


さっきまでの優しかった沖田さんはどこに行ったんだろう。


なんて、きっと言ったら余計に睨まれる。



「それに初めてじゃないじゃん」


え?


......初めてじゃない?



「それってどういう意味ですか?」


首を傾げると、布団を並べていた沖田さんが怪訝そうに手を止めた。



「覚えてないの?君がここでうなされてるとき、隣で寝てたんだけど」


「え」


「だってここ僕の部屋だし」



たしかにここは沖田さんの部屋だ。


むしろあたしが貸してもらってた身であってなにも言う権利はないんだけど、



あの時、沖田さん隣で寝てたの?


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