傷だらけの君は
必死に思い出そうとするけど、床に伏せてた時の記憶は全くなくて。
かろうじて、そういえば視界の端でなにか動いてたなって思うくらい。
「あれ沖田さんだったんですか......?」
「あれって」
どうしよう、あたし、寝言とか言ってなかったかな。
寝相、大丈夫だったかな。
誰かと一緒に寝るってことが今までなかったから、自分がどんな寝方をしているのか分からなかった。
おそらく青くなっていたんだろうあたしを見て、沖田さんはふっと小さく吹きだした。
「なに慌ててんの?ほら、自分の分は自分で敷いて」
僕そこまで優しくないから、って言うと沖田さんはあたしに背を向けて寝転んだ。
「いえ、沖田さんは優しいと思います」
「と思います?」
「優しいです。断言します」
あたしは自分の布団を部屋の端に引きながら、これまでの事を思い出した。
初めて会ったときも、
熱にうなされてたときも、
拉致されたときも、
真っ先に思い出すのは沖田さんの顔で。
「あたしのこと嫌いなのに、こうやって何度も助けてくれます。本当に感謝してもしきれません」
「......本当に嫌いな奴だったらここまでしないよ」