傷だらけの君は
「はい、終わり」
そう声をかけられはっと我に返ったときには、いつの間にか包帯も巻かれたあとで。
さっき山崎さんが片付けていた包帯を早速使わさせてしまったことに罪悪感をおぼえた。
「ごめんなさい、山崎さん。次からはちゃんと......」
「紅」
びくりと体が揺れた。今どんな顔をしているのか、確認するのが怖くて畳ばかり見つめてしまう。
「新選組は嫌いか?」
「そ、そんなことは絶対にありません!大好きです!だってここは、みなさんは初めてあたしを受け入れてくれて......」
思いもよらない言葉に顔を上げると、山崎さんはあたしをじっと見つめていた。
「紅が頑張って変わろうとしよることは伝わってきてるで。でも一番大切なことを紅はできてない」
「一番……大切なこと?」
「わがままを言うこと」
山崎さんの口から出たのは恐らく、今までのあたしには無縁だったもの。
でもわがままを言える環境じゃなかった。
......ううん、環境なんて本当は関係ない。
周りのせいにして気を使って、自分の気持ちを押し殺していたのはあたしの問題。
それは分かってた。
「紅の悪いところ言ってったろか」
「え」
「まず無口なところからはじまり、無表情なところ。人にあんま関心がないところ。すぐに自分なんてっていうところ。嫌なことがあっても一人で抱え込むところ。すぐ謝るところ。四六時中気ぃ使っとるところやろ、あと......」
「ま、まだあるんですか」
自分では分かってたつもりでも、いざ挙げられていくとグサグサと心に刺さる。