哀しき野良犬
せっかく仕事を早く切り上げさせてもらったのに、なんだか先輩たちに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
と同時に、自分が哀れでならなかった。

家に帰ると、俺の早過ぎる帰宅に母が驚いていた。
母は俺が暴走族をやめたことをとても喜んでいる。
孫ができると知ったら喜んでくれるだろうか。
彼女に子供ができたことをまだ母には喋っていない。

母には本当に迷惑をかけて来た。
そろそろ安心させてやらないといけない。

「飯、喰った?」

この時間だと母はパート先から帰宅したばかりだろう。
俺は母を誘って晩飯に出ることにした。

母と外食をすることなんて10年ぶりぐらいかも知れない。
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