哀しき野良犬
「おい修平。そろそろ上がっていいぞ。今夜、彼女が来るんだろ?」

社長が人懐っこい顔で遠くのほうから俺に向かって叫んだ。
だから周囲の人間全てに聞こえてしまった。
当然、長坂先輩たちから冷やかされる羽目になる。

「後片付けはしておいてやるからとっとと帰れ。駅まで迎えに行くんだろ?」

長坂先輩の本当に優しい言葉。
見かけは暴走族の総長かヤクザの若手幹部といった雰囲気だが、もう3年もこの仕事を真面目に続けている。
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