哀しき野良犬
実際、俺だって彼女を幸せにする自身などない。
出逢った頃は彼女と所帯を持つなどと考えもしなかった。

俺が彼女と出逢ったのは8ヶ月ほど前だ。

街でチンピラと喧嘩をして、それを警察に通報され、顔馴染みの刑事にたっぷりと説教を
喰らい、その帰り道に彼女がいた。
彼女は柄の悪い男たちに絡まれていた。
普段の俺なら見ず知らずの女を助けるなどというボランティア精神を持っていないため、無視して通り過ぎるところだが、その日はムシャクシャしていた。
だから彼女に 「助けてください」 と言われ、
相手の男に 「やんのか、ガキが」 と挑発され、俺の血管が一気にブチ切れた。

俺は男たちを叩きのめし、結果的に彼女を助けることになった。
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