妄想の恋が実現した結果。
お母様も最初は私のことを愛してくれた。
でもお父様の浮気疑惑がでたときに後半の歌詞ができたんだ…
「か、香織…それは本心なんだね?」
「はい、私も綾斗のことが好きです。」
本当!?と綾斗が寄ってくる。やっぱり私は綾斗のことが好きだったんだ。
「鏑木、ありがとう。」
「いえ、それは私ではなく奏太に言って下さい。
助言してくれたのは奏太ですから。それにしても久しぶりに後半を聞きました。
思い出されたのですね。あの日々を」
「ま、まあね。お母様はずっと怖い人だったけれで実は優しい方だったのね。」
「ということは香織、あの浮気疑惑のことも思い出しちゃった?」
「ええ、ばっちり。でもちゃんとお父様が無罪だってことはわかっていますよ。」
「な、ならいいが…」
綾斗たちはキョトンとしている。だからもう一度歌ってあげた。
「香織!本当にありがとう!このまま結婚もしてくれるよね!」
さ、さあね。というか多分すると思うよ。
だって私、こんなに綾斗のことが好きなんだから!
「香織さん。昨日はごめんなさい。でもお幸せになって。
やっとこれでお見合いに望めるわ。相手の方もどんな人かわかったし。」
「え?お見合い??」
「俺だよ、俺。」
後ろから声が聞こえる。着慣れてないのか居心地悪そうにしている。
「あ、奏太!え、奏太なの…?
詩織さん!絶対やめといたほうがいいって!奏太はダメダメだもん!」
「ああ!?なんだと!「ゴツン!」いたっ!」
「誰に向かって口聞いとるんか!」
と鏑木からげんこつをくらっていた。
部屋中に笑い声が響く。
あ、そういえばなんだか忘れているような…
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