妄想の恋が実現した結果。
あ、なんだか懐かしい記憶…
「ねえ、綾斗くん。大きくなったら香織を綾斗くんのお嫁さんにして!」
「うん!いいよ!香織ちゃん大好き!」
「香織も!そのときはね、綾斗くんと一緒に海が見えるところに住んで、一緒にご飯作るの!
私、不器用だから綾斗くんに教えてもらう!」
あ、これは綾斗と遊んだ時の記憶?
「そのときまでこれ持ってて。」
「これなあに?」
「僕の宝物の指輪。香織ちゃんに貸してあげる!」
「じゃあ香織も!」
あ、指輪…このネックレスのことだ…
ちっちゃい時から肌身離さず持ってた…
「ねえ、綾斗…私思い出したよ!」
「え、ほんとに!?」
「ほらこのネックレスに海が見える屋敷!ずっと覚えててくれたんだ!」
「そ、そんなことないよ…」
プルプルル、綾斗の携帯が鳴る。
「香織ちゃん、ゴメン。会社に行かなくちゃならなくなった。
急いで帰ってくるね!いい子で待っててね!」
「そんなに心配しなくていいよ!いってらっしゃい、気を付けて。」
バタバタと急いで出て行った。この後恐ろしいことが起きると知らずに…
綾斗まだかな…もう3時間ぐらいたってるのに…
プルプルル、電話が鳴る。
「もしもし、本宮香織さんですか!?
急いで立花病院へきてください!立花綾斗さんが事故に合われました!」
う、うそ…
「お嬢様!大丈夫ですか!?まずは病院へ向かいましょう!」
鏑木が家まで迎えに来てくれた。
「本宮香織です!立花綾斗はどこですか!?」
「こちらです!」
看護師さんに連れられて病室へ向かう。病室には医師がいた。
「本宮香織さんですか?彼の携帯電話にあなたの画面が出ていたので
お電話させていただきました。」
医師の隣にいた警察の方から言われた。
「ちなみに、隣に座っていた方の松田詩織さんをご存知ですか?」
え…隣に座ってたの…?
「い、いえ…わかりません。」
「そうですか。失礼しました。
では失礼します。ご協力ありがとうございました。」
「では立花綾斗さんの容態についてお話します。」
警察の方と入れ違いで医師から話を伺った。
「まず、一命をとりとめましたがいつ目覚めるか分かりません。」
そ、そんな…
「お嬢様、だ、大丈夫ですか…?」
「え、ええ。大丈夫よ、鏑木。
ありがとうございました。」
「では失礼します。」
医師が出ていき鏑木も出ていった。綾斗と二人っきりになった。
「ねえ、綾斗。浮気じゃないよね…
でも浮気だったとしても私のせいだもんね。ゴメンね…
じゃあね。この婚約は破棄にしましょう。今ならまだ間に合うわ。」
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