朝起きたら親友が女になってた件。
「御影梓。それを、女になったハズの名前にしよう」
寝癖がついていた髪は頭の両端でツインテールにくくられており、ぶかぶかだった服はサイズがあうように変えた。
あぐらをかいて座るその姿は、男だったときのハズそっくりだ。
少し猫背で、身体を前後に揺らすのが癖。
今目の前にいる「梓」はそれそっくりだった。
「あずさ、か…結構いい名前やなっ」
女になったハズは、口を開けて笑った。
両方のツインテールが、ハズの動きに合わせてゆらゆら動く。
「いや、だけど…今日が休みだったからよかったけど、学校はどうするの?この格好のまま行くわけにはいかないでしょ」
今日は週末、土曜日。
ハズの部活もテスト前で休みだったのだ。
勉強が苦手だというハズに俺が教えるためにも、俺の家でお泊り勉強会を開いていた。
恐らく今、一階で俺の母が上機嫌で朝ごはんを作ってくれていることだろう。
親友が女になった!なんて知られたら、大騒ぎになりかねない。
「とりあえず朝ごはん持ってくるから。ハズはここにいて。動かないで」
俺は立ち上がり、ハズを指さして言った。
ハズははーい、と今にも動きそうな雰囲気で言った。
絶対だよ、と念を押し、部屋をでる。
その直後に物音ががたがたと聞こえたことは、なにも知らない。