俺が好きって認めれば?【完】
私はただ言われっぱなしのまま、それ以上何も言えなかった。





「まっ、こんなにカッコいい俺と一緒に居れただけ有難いと思ってくださいね、じゃ」





隼人君は適当な口ぶりでそれだけを言うと公園を立ち去ったのだった。





私は暫くの間、頭の中の整理が追いつかず、この場を動けなかった。





ベンチへと座り視線を足元へ落とす。





私、利用されてただけだったんだ。


あんなに笑ってくれてたのも、嬉しいことを言ってくれたのも、全部…全部ウソだったんだね。





素直で、純粋で、真っ直ぐで。


本当にいい後輩だって思ってたのに。





…全部演技だったんだ。


私を騙すために芝居してただけなんだね。





今の私には悲しいとか怒りとか、全てを通り越し空っぽだった。





ただ事実を目の当たりにし、何も言えない。


受け入れなくちゃいけない。
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