Silver Night-シルバーナイト-
あの力強い瞳に
引き寄せられ、憧れ、そして心を奪われた。
私に持っていないモノを彼は持っている。と
どこかでそう感じたのかもしれない……
だけど、一緒にいるにつれ…
梓の優しさだったり強さだったり…そしてあの時マンションで見せてくれた弱さに…私は彼を想わずにはいられなかった。
憧れると同時に、どこか自分と似ていると思った。
彼の側にいたいと、そう願った。
何気なくしてくれる優しさが胸に染みて温かくて…笑顔を向けてくれるたび少しばかり嬉しくて…
だから梓が女の子といるところを見るのが苦しい。
風でフワリと前髪が揺れて、それを直すように額へと触れると小さな絆創膏が手に触れる。
あの時も……きっと梓は彼女の元へと行ったんだ。
そうなると、梓にとっての私のポジションなんか明白で…あの時してくれた心配そうな表情も何もかもが苦しく思えてくる。
こんな事を考えてても仕方ないと感じるのに…出てくる記憶は彼女の元へと行ったであろう梓の後ろ姿ばかり。
馬鹿みたいだ……
こんな気持ちになるなんて。
何にもいい事何てないのに……