Silver Night-シルバーナイト-
距離感
「莉愛」
昼休み、購買でパンを買っていると後ろから声をかけてきたのは聖。
あの日、梓達の文化祭があった日
結局あの後何だか微妙な雰囲気になってしまった私達はDVDを見る事もなく解散した。
家に帰った私は、思っていたよりもずっと冷静で。それよりも文化祭で疲れていたのか…割とすぐ眠る事が出来たくらいだ。
次の日の日曜日は倉庫には行かなかった。
琉聖から迎えに行くって連絡が来たけれど、私は勉強するからなんてありきたりな嘘を付いた。
昼頃には寂しくなったらしい佑衣から電話が来て、それが何だか嬉しくて、やけに勉強がはかどったほど。
大丈夫、私はいつも通り過ごせてる。
ただ昨日は梓に合わせる顔がなくて……だから今日からはちゃんと倉庫に行こうと思ってる。
「聖、どうしたの?」
久しぶりに見たい聖は、やっぱりどこからどう見ても王子様で…綺麗に着こなされた制服に丁寧にセットされた髪。そんな彼を近くの女の子達はひたすら目で追っている。
「お願いがあるんだけどさ」
「お願い?」
首を傾げて見せれば、聖は目尻を下げて私の前で両手を合わせた。
「今日から一週間でいいから、生徒会の仕事手伝ってくれない?」
生徒会の仕事……確か以前もそんな事を言われた気がする。
だけどそのときの私は、他人と関わる事がまずできなくて…確か断ったんだよね。
だけど、聖にはいつもお世話になっている。
それに……今の私なら…学校で聖以外の人とも話せるんじゃないかって思う。
「……いいよ」