Silver Night-シルバーナイト-



放課後、聖が教室に来る前に廊下へ出て電話をかける。




相手は悠真。




こういう時何故か一番に頭に浮かんで来るのはいつも悠真で、それは悠真が一番大人っぽくて理解力があると感じるからかもしれない。



きっと琉聖なら無理矢理でも迎えに来そうだし、佑衣なんかはダダをこねるに決まってる。梓は……分からない。どんな風に言ってくれるか分からない。


けど、多分…私が行けないと言ったら…「そうか」と言って優しげな声を出してくれるのかもしれない。




『はい』




電話を鳴らしてワンコールで出た悠真




「あ、もしもし、悠真?」



悠真のスマホにかけてるんだから悠真が出るはずなのに、何でか彼の名前を呼んだ私に、悠真はクスっと優しく笑うと




『うん、俺だよ』



と冗談っぽく合わせてくれる。




悠真のトーンって何だか心地いい。
ゆったりとしていて、優しげで、落ち着く。




「あのね、実は今日から学校で手伝わないといけない事が出来て倉庫には行けないの」




『手伝い?』



「うん、従兄弟が生徒会なんだけど、その手伝いを頼まれたの」



本題に入るなり、電話越しの悠真は何か考え込んでいるのかすぐに返事はもらえなくて




『じゃあ終わったら迎えに行くよ』




紳士的な悠真の事だ。そう言ってくれるのは何となく想像がついていた。



私は用意していた台詞を頭の中で整理すると、もっともらしい理由をツラツラと口にする。



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