Silver Night-シルバーナイト-
「もしもし」
『あ、莉愛ちゃん?こんな時間にごめんね』
優真からの第一声はそんな気づかいのある優しい言葉。
「どうしたの?」
『あのさ、もしかして今俺の家にいる?』
「え、うん、いるよ」
どうして優真は私が優真の家にいるって分かったの…?いくら頭のキレる人間だからと言ってまさかこんな事まで分かる天才なのだろうか。
なんて…さすがにそんなはずないけど、でもそれならどうして分かったんだろう…?
『俺達今帰り道で、もうすぐ着くからそこで少し待っててくれない?久々に莉愛ちゃんの顔見たいし』
「…うん分かった、じゃあ待ってる」
私の返事を聞いた優真は『待っててね』と再度その言葉を言うとあっという間に電話を切った。
通話を終えてポケットへとスマホを入れると「優真何て?」と琉聖に聞かれて「今からここに来るって」と答えると「あ?じゃあ待ってろって事かよ?」とかったるそうに溜息を吐き出す。
「じゃあお店で待ってたら?」
そんな私達のやり取りを聞いていたひなのさんが、気を使ってそう言ってくれた直ぐ後、
ブォーンッと低く心地の良い音
丁寧に夜道に響くエンジンの振動が耳へと届いてくる。
そして琉聖の止めていたバイクのすぐ隣に横付けされた一台の車は、
今まで何度も見たはずなのに、それを見るのは一週間ぶりで、たったそれだけの期間ですら…何故かやたらと懐かしく感じた。