Silver Night-シルバーナイト-
ゆっくりと開かれていく後部座席のドア。
それを見た瞬間、そういえばさっき…悠真が『俺達』と言った事を思い出す。
どうしよう…一気に心臓が馬鹿みたいにバクバクと鳴り出してきて…思わずバッと琉聖を見た。
まだ、心の準備だって出来てなかったのに…
全く出来てなかったのに……
助けを求めるように琉聖を見上げるけれど、その瞳は「諦めろ」と言っているように見えて…
後部座席から降りてきた人物を見た私の心は、やっぱりギュッと締め付けられた。
一週間ぶりに見た梓は、やはりどこまでも恐ろしいほど整っていて綺麗で…そして彼独特のオーラが辺り一面を包み込んで行く。
ゴクリと唾を飲み込み、そんな梓を見つめていると、ゆっくりとその視線とぶつかった。
その視線がしばらく外される事は無くて、私もそこから逃げる事なんてできずジッと見つめていると
「莉愛ちゃん、久しぶり」
と、助手席から降りてきた悠真の優しい声に一気に緊張が解けた。