Silver Night-シルバーナイト-




ゆっくりと開かれていく後部座席のドア。

それを見た瞬間、そういえばさっき…悠真が『俺達』と言った事を思い出す。




どうしよう…一気に心臓が馬鹿みたいにバクバクと鳴り出してきて…思わずバッと琉聖を見た。



まだ、心の準備だって出来てなかったのに…
全く出来てなかったのに……
助けを求めるように琉聖を見上げるけれど、その瞳は「諦めろ」と言っているように見えて…



後部座席から降りてきた人物を見た私の心は、やっぱりギュッと締め付けられた。



一週間ぶりに見た梓は、やはりどこまでも恐ろしいほど整っていて綺麗で…そして彼独特のオーラが辺り一面を包み込んで行く。



ゴクリと唾を飲み込み、そんな梓を見つめていると、ゆっくりとその視線とぶつかった。



その視線がしばらく外される事は無くて、私もそこから逃げる事なんてできずジッと見つめていると



「莉愛ちゃん、久しぶり」



と、助手席から降りてきた悠真の優しい声に一気に緊張が解けた。






< 151 / 365 >

この作品をシェア

pagetop